さぁ、インドへ行こう!~(28)

インドの中でも、南インドの人は本当に気さくだ。カメラを持っている俺を見かけると、すぐに“俺たち(私たち)を撮ってくれ”とせがんでくる。

エグモア駅 Egmore R.S. からタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation へ歩くだけで、通りすがる人々や沿道で軽食を提供する人々が、俺のカメラの前でポーズを撮るのは紹介済みだ。

俺にシャッターを押させてくれるのは、別に街ですれ違う人やおやつを買う店の人だけではない。オート・リキシャーのドライバーや、高給取りが行くブランドショップの人達も、俺がカメラのレンズを向けると同じように笑顔を見せてくれる。

NEC_0057-2
スペンサー・プラザ Spencer Plaza からHotel Royal Regency まで俺を運んでくれた、オート・リキシャー・ドライバーのKalai

PC310003-2
スペンサー・プラザ Spencer Plaza でサングラスを買ったショップの親娘店員。ともにオレンジ色のサリーがとても似合う。

日本だけではなく、他のアジアの国でも、ここまで写真撮影にウェルカムな土地は他に知らない。国や地域によっては、写真撮影が厳禁なところもある。

しかし、ここチェンナイ Chennai では、そんなことを気にする必要なない。ぜひ、チェンナイ Chennai を含め南インドを訪れた際には、恥ずかしがらずにカメラのレンズを待ち行く人々に向けてみよう。日本では経験できないリアクションが、彼等・彼女達から帰ってくるだろう。

さぁ、インドへ行こう!~(27)

タミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation へ向かうつもりが、チェンナイ Chennai の人達の気さくな笑顔に釣られて、かなりの足止めを食らった。気を引き締めなおして、目的地を探すことにした。

しかし、地図どおりに歩いても、肝心のタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation は見つからない。どうしたことか・・・。ロンプラ lonely planet では、Park Train Station のすぐ近くだ。

PC310037-2
Park Train Station の駅前通りの様子。仕事帰りなのか、レジャー帰りなのか、家路に急ぐ人々。

P1010054-2
Park Train Station の駅前

なかなか、タミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation が見つからない。諦め気分が強くなってきたところに、ようやく目的地を表すネオンが見えてきた。

PC310033-2
タミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation

あまりにも人通りが多い通りで、周辺の光るネオンに隠れるようにして表示されるタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation の看板。よほど気をつけて探さないと、間違いなく通り過ごしてしまうだろう。

ようやく見つけたタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation の看板をくぐり、オフィスを探す。一歩中に足を踏み入れると、看板の外の大通りとは程遠い、薄暗い空間が俺を迎え入れた。本当に、ここに目的地があるのか・・・

そんなおれの懸念を他所に、すぐにタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation を発見することができた。それは、小学生の夏の林間学校で見たような、薄暗くて寂れた建物の中に合った。

P1010061-2
タミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation の入り口

ようやく見つけたタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation 。ためらわずに、その建物に足を踏み入れた。

ここにもまた、南インド・ドラヴィダ Dravida 文化を象徴するかのような、背格好や顔、鼻の形が丸い中肉中背の男が待ち受けていた。彼は、笑顔で俺を招きいれた。

少し踏ん反り返ってはいるが、その目と表情はとてもフレンドリーだ。俺は、翌日にマーマッラープラム Mamallapuram へ行きたい旨を伝えた。

彼は“OK”と言って、俺に翌日のバスツアーの案内を始めた。

6:30amにこのオフィスの前を出発。7:00pmに帰着予定。行き先は、マーマッラープラム Mamallapuram のほか、カーンチープラム Kanchipuram など周辺の観光地を一日で周るツアーだ。

Non A/C で、330ルピー。ホテルのツアーデスクで紹介されたよりは高いが、そっちは明日は催行されない。しかも、タクシーチャーターよりは格段に安い。

仕方ない。目の前の男の笑顔と親切に免じて、このツアーに申し込むことにした。

P1010055-2
タミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation のデスク

ようやく、翌日1月1日の予定も決まり、トボトボとホテルに戻ることにした。そういえば、今日は大晦日じゃないか。というより、腕時計で時間を確認したら、既に日本では新年が明けていた。旅をすると、つい日本の時間軸を忘れてしまうのは俺だけではないだろう。

P1010041-2
全ての旅の手配を終えて到着したHotel Royal Regency

P1010062-2
日本では既に新年が明けた時間だが、インドを旅している俺にとって2007年の最後の食事。“年越しそば”ではなく、“年越しビュッフェ・ターリー”??

さぁ、インドへ行こう!~(26)

今回の旅のメインはマイソール Mysore 。にもかかわらず、ムンバイ Mumbai からバンガロール Bangalore ではなく、ここチェンナイ Chennai に飛んできたのは、もうひとつの目的がある。

それは、マハーバリプラム Mahabalipuram を訪ねることだ。チェンナイ Chennai から海沿いを南へ約60kmほど下ったところにある。

前回のチェンナイ Chennai 滞在では、マハーバリプラム Mahabalipuram を訪れる時間がなかった。もんもんとした気持ちで日本に帰国し、いつか必ずマハーバリプラム Mahabalipuram へ行くぞ!と自分自身に誓っていた。

現地では、このマハーバリプラム Mahabalipuram という呼び名より、マーマッラプラム Mamallapuram と言った方が通りがいい。前回の自分への約束を履行するため、先ほどのツアーデスクへ向かい、同じ女性にマーマッラープラム Mamallapuram へのツアーを確認してみた。

彼女に差し出されたパンフレットを見ると、マーマッラプラム Mamallapuram の他、いくつかの観光地も訪れて、バスツアーで100ルピー。India A/C 1900ルピー、India Non A/C 1700ルピーという記載もある。要はタクシー1台をチャーターしてその値段ということだ。バス、タクシーに関わらず、どれも8:00am出発の8:30pm到着のツアーのようだ。

タクシーのチャーターも魅力的だったが、バスのツアーに参加することに決めた。タクシーチャーターだと値段が高いこともあるが、現地の人達と交流する機会が乏しい。せっかく南インドまで来ているのだから、多くの現地の人達と交流したいとおもったからだ。

彼女に、翌日1月1日のバスツアーを申し込んだ。しかし、その日のバスツアーは催行されないとのこと。ここでもまた、思い通りに行かないインド旅の面白さを体験した。

そんな時、頭の片隅に残っていたタミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation のことを思い出した。確か、このタミル・ナドゥ州観光開発公団のオフィスは、この俺が滞在しているホテルから歩いてすぐのところにあるはずだ。しかも、多種多様なツアーを提供するという。マーマッラープラム Mamallapuram へのバスツアーの手配もできるかもしれない。

さっそくバッグからロンプラ lonely planet を取り出し、タミル・ナドゥ州観光開発公団 Tamil Nadu Tourism Development Corporation の位置を確認した。ホテルから中央駅 Chennai Central R.S. 方面へ歩いてすぐだ。

ホテルを出て、その地図どおりに中央駅 Chennai Central R.S. 方面へ歩く。たかだか数百メートルではあるが、その道中でも思わずカメラのレンズを向けたくなる景色が俺の目に飛び込んできた。

PC310009-2
馬車小屋。大通りに面した小さな箇所に、馬と車が格納されていた

PC310012-2
チェンナイ Chennai 市内を走る超満員のバス

PC310013-2
壁にペイントする人達。通り過ぎようとすると、彼らは俺に写真を撮るように催促した。

PC310014-2
タミル Tamil 語は、ウォールペイントに向いているのか?妙にマッチングしている

間は夕暮れ時。日も傾いてきて、買い物に出かける時間が少なくなってきていることに焦りを感じ出した。

PC310016-2
中央駅 Chennai Central Station

PC310024-2
チェンナイ Chennai の看板は、めちゃデカイ!

PC310025-2
中央駅 Chennai Central Station 近くにある小寺院

PC310026-2
チェンナイ Chennai では、カメラを持っていると自分達を撮るように強請られる

PC310027-2
夕暮れ時の中央駅 Chennai Chentral Station 駅前

P1010048-2
彼らもまた、俺が首から提げるカメラを目ざとく見つけて、写真を撮ってくれと笑顔でせがんできた。

さぁ、インドへ行こう!~(25)

マイソール Mysore 行きの交通を確保した俺は、ホテルの前で客待ちをしていたオート・リキシャーに飛び乗った。“Would you please bring to the Spencer Plaza?”

スペンサー・プラザSpencer Plaza とは、チェンナイ Chennai の街の中心にある大型ショッピングセンターだ。前回のチェンナイ Chennai 訪問でも訪れたところだ。

買い出しと言っても、別に食料を買い込むわけではない。今回の旅で、日本から持ってきた衣類は、3日分だけだ。そう、明日から着るものがない。その衣類を買い足すため、スペンサー・プラザ Spencer Plaza へ向かった。

エグモア駅 Egmore R.S. 近くのホテルからオートリキシャーに乗り、街を南下する。チェンナイ Chennai 市街のメイン道路のアンナー・サラーイ Anna Salai を南下し、15分ほどでスペンサー・プラザ Spencer Plaza に到着した。

PC310002-2
スペンサー・プラザ Spencer Plaza の正面入り口

オートリキシャーを降り、タバコを1本吸った。タバコを1本吸う間にも、客待ちのオートリキシャーのドライバーは、俺に手招きをしたり声をかけてきたりする。本当に商売熱心だ。

スペンサー・プラザ Spencer Plaza は、ここがチェンナイ Chennai とは思えないぐらい綺麗なショッピングセンターである。男性用、女性用の衣類を専門に扱うショップを始め、ブックショップやCD/DVDショップまである。その数は、大小含めて相当な数だ。そういえば、前回はここスペンサープラザ Spencer Plaza のショップで、ジーンズ1本と、本をCDを大量に買い込んだことを思い出した。

PC310004-2
スペンサー・プラザ Spencer Plaza 内の吹き抜け

PC310008-2
スペンサー・プラザ Spencer Plaza の外観や、周辺の街並みとは似つかわしくない店内の造り

PC310005-2
前回のチェンナイ Chennai 滞在で、大量の本とCDを買い込んだショップ

スペンサー・プラザ Spencer Plaza 内を少しぶらついた。俺は、気に入るシャツを売っているショップがなかなか見つからない。やはり、日本で暮らす俺のセンスと、南インドの人々が欲しいと思うものは異なるのか。

いや、異なって当たり前だ。そう思えば、インドでの買い物なんて楽なものだ。周りの人達を見て、それと同じようなものを買えばいい。

間違っても、それを来て日本の渋谷や新宿を歩こうなんて思わないことだ。せいぜい、近所に買い物に出かけるときに着られればいい。

そう悟った俺には、既に迷うことはない。すぐ近くのショップで、安くて俺に似合うリーズナブルなシャツを調達することができた。これで明日一日は、南インド最大の都市、チェンナイ Chennai を裸体で歩かなくて済みそうだ。

さぁ、インドへ行こう!~(24)

空港から市内へ向かう途中、タクシーが接触事故を起こすアクシデントに見舞われた。ドライバーと相手方が幾分か言い合った後、お互い何もなかったかのように、そのまま自分の行く道を進んでいった。

昼間の渋滞にも巻き込まれ、そんなこんなでホテルに到着したのは13時過ぎだった。さっそくフロントでチェックインをし、部屋へ案内された。

さて、この次にしなければいけないこと。それは、今回の旅のメインディッシュである、マイソール Mysore 行きの列車のチケットを確保することだ。

出発前の日本で、IRCTCのサイトからトライしてみたが、勝手がわからず途中で断念。チェンナイ Chennai に到着してから手配することにした。

目的の列車は、6222 Mysore Exp。チェンナイ Chennai の中央駅 Central R.S. を22時30分に発車する。マイソール Mysore 駅到着は翌朝だ。翌日の夜にこの列車に乗り込み、1月2日朝にマイソール Mysore に着くプランを立てていた。

宿泊代を浮かすこともあるが、俺は列車の旅、特に夜行列車の旅が大好きだ。ホテルの部屋に荷物を置き、ロビーにあるツアー会社のデスクに向かった。

オレンジ色のサリーを綺麗に着こなす女性がひとり、そのデスクに座っている。彼女に列車名と搭乗月日を告げて、チケットの手配をお願いした。

彼女は、目の前のパソコンを操作し始めた。しばらくすると、浮かない表情で、“No”と言ってきた。どうやら満席のようだ。仕方なく、その前後の日程で調べてもらったが、夜行も昼運行の列車も、1月4日からしか手配できないとのこと。ここチェンナイ Chennai にはそれまで滞在するつもりはない。

どうしようか思案した挙句、1月2日早朝に飛行機でバンガロール Bangalore へ行き、そこから列車でマイソール Mysore へ向かうことにした。バンガロール Bangalore まで行けば、そこかマイソール Mysore までは列車で2時間。2時間ぐらいであれば、最悪は2等に乗って揉みくちゃにされても我慢できるだろう。

そのフライトチケットを、そのツアーデスクで手配をお願いしても良かったが、彼女はエアー・デカン Air Deccan を薦めてくる。確かに、2700ルピーは破格値だ。しかし、俺はジェット・エアウェイズ Jetairways かキングフィッシャー・エアライン Kingfisher Airline に乗ることにしている。しかも、そのツアーデスクでは現金払いしか受け付けないという。

俺は部屋に戻り、自分のノートパソコンをネットに接続した。ジェットエアウェイズ Jetairways のサイトへ行き、1月2日 チェンナイ Chennai  5:55am発 → バンガロール Bangalore 6:40着 の 9W802便を予約した。フライト料金は81.7USD。ツアーデスクの彼女が薦めたエア・デカン Air Deccan とほぼ同額である。

これで、マイソール Mysore 行きへの交通を確保した。次は、チェンナイ Chennai の街中へ買出しに出かけることにした。

さぁ、インドへ行こう!~(23)

タクシーで、チェンナイ Chennai 空港からホテルへ向かう。車窓から外の景色を眺めてみる。その光景は前回と同じ、まさしくここはチェンナイ Chennai だと実感した。

沿道に掲げられている看板は、異様に大きい。また、そこに書かれている文字も、それまで居たムンバイ Mumbai とは全く違う。

丸みを帯びたその文字は、タミル Tamil 語。ここチェンナイ Chennai が位置する州は、タミル・ナドゥ Tamil Nadu 州。その州名通り、ここはタミル Tamil 民族の国である。そう、歴史的にイスラム文化の影響を受けていない、ドラヴィタ Dravida 文化の世界だ。

ひと口にインドと言っても、その場所によって暮らす人々や文化が全く違う。主要都市、デリー Delhi、ムンバイ Mumbai、コルカタ Kolkata、チェンナイ Chennai、のどこをとっても同じ民族ではない。

多くの民族が、インドというひとつの超大国の中に暮らしている。しかし、彼らは、それぞれ自分達の独自の民族を持ち、それを誇りに思っている。

ここチェンナイ Chennai は、南インドの代表都市。インドを、北インドと南インドに分けて称することが多い。その南インドの政治、商業の中心地、それがここチェンナイ Chennnai だ。

現在のインド全体の政治、経済の中心は、北インドに集中している。しかし、タミル・ナドゥ Tamil Nadu 州を中心に南インドに暮らすタミル Tamil 民族は、インドがインドたる所以は自分達である、と自負している。

よって、北インド、特に政治の中心地デリー Delhi に対しては、自分達の独自性を主張し、抵抗意識を強く持っているように聞く。

その、彼らが主張するインドがインドたる所以、ドラヴィダ Dravida 文化を、ここチェンナイ Chennai を中心に南インドで垣間見ることができる。

さぁ、インドへ行こう!~(22)

10:45am。予定通りにチェンナイ Chennnai 空港に到着した。チェンナイ Chennnai に到着すると、まずしなければいけないことがある。それは、ホテル探しだ。

前回、チェンナイ Chennai を訪れたとき、泊ったホテルに泊りたかった。出発前に日本で調べてみたが、わからなかった。当時持ち帰ったホテルの案内やレシートも探してみたが、見つからなかった。

知り合いの何人かにそのホテルのことを話したことを記憶しており、その人達にも聞いてみた。しかし、俺がそのとき伝えたホテル名を憶えている人はいなかった。

仕方なく、住所や連絡先、ホテル名もわからないまま、チェンナイ Chennai に到着した。エグモア駅 Egmore R.S. と中央駅 Chennai Central R.S. の間に位置することだけは憶えてている。前回と同じ、空港のホテル案内 Hotel Reservation のカウンターへ向かった。

ホテル案内 Hotel Reservation の男は、明らかに外国人とわかる俺を上客だと思ったのか、手招きをして呼んだ。“そんなに呼ばなくても行ってやるよ・・・”と心の中で呟いた。

彼は、あれやこれやとパンフレットを見せて薦めてくる。しかし、俺の心の中では、前回泊まったホテルと決めている。“前回ここで紹介してもらって、エグモア駅 Egmore R.S. と中央駅 Chennai Central R.S. の間に位置して、1泊2000ルピーぐらいのホテルを教えてくれ”と、頑張って英語で伝えた。

カウンター前に立つ男は怪訝な表情をする。しかし、カウンター内で座っていた男はすぐにピンと来たようだ。すぐにパンフレットをひとつ差し出してきた。

“Royal Regency”と書かれたパンフレット。そこに載せてあるホテルの外観とフロントの写真を見て、“間違いない!ここだ!”と思わず日本語で叫んでしまった。

デポジット1000ルピーと、プリペイドタクシー代250ルピーを支払い、ポーターに連れられてタクシー乗り場へ向かった。

小柄で中肉の中年ポーター。顔も鼻も丸っこく、見るからに南インド・ドラヴィタ系の人種だ。そんな背格好ではあるが、威風堂々と俺の荷物を引っ張って、タクシー乗り場へ案内する。

どこかで見たことのある顔でもある。そうだ、前回、ここチェンナイ Chennai 空港に降り立った時にも、このポーターにタクシー乗り場へ連れて行ったもらった。間違いない、この顔だ。

彼に英語でそのことを伝えたが、彼は全く憶えていない様子。無理もない。前回と言っても、1年半前のことなのだから。彼にとってはその間に、何百人、いや何千人の荷物を運んだのだろう。

しかし、俺自身、彼のことを憶えていて再会したことを少し嬉しく思い、前回のチェンナイ Chennai 滞在時の光景が、少しずつ頭の中に蘇ってきた。

さぁ、インドへ行こう!~(21)

5:30am起床。日本国内でも比較的早起きな俺でも、旅先で疲れた体を早朝から動かすのは、さすがにしんどい。体に鞭打つように、ベッドから起き上がった。

曇り窓ガラスの向こうは、まだ暗い。もう一度ベッドに横たわりたい気持ちで一杯だったが、そうするわけにはいかない。6時30分には、タクシーに乗り込まなくてはいけない。

ミネラルウォーターを口に含み、タバコを一本吸った。顔を洗い、歯を磨く。トイレで用を足し、着替えに入った。徐々に、体が軽くなってくる。

6時30分きっかりに、フロントへ行く。既にタクシーは迎えに来ているようだ。運転手らしき男が、フロントの人と談笑している。早朝なのに、えらくテンションが高いもんだ。

フロントで清算を済まし、まだ気だるさが残る体をタクシーに乗り込ませた。6時30分のムンバイ Mumbai はまだ薄暗い。ようやく朝陽が昇ろうとしているところだ。

昨夜、綺麗な夜景が見えたマリンドライブ Marine Drive に差し掛かったとき、車の窓を開けてみた。昼間は排気ガスと砂埃で澱んでいる空気が、綺麗に澄んで気持ち良い。

心配していた道路渋滞も、杞憂に終わった。綺麗に舗装された道路を、タクシーは快走した。ちょうど1時間で、サンタ・クルズ Santa Cruz 空港に到着した。

日本で予約し、プリントしたe-ticketとパスポートを取り出し、ターミナルビル入り口に立つ警官に見せる。無愛想な表情で、俺の差し出したe-ticketとパスポートをチェックする。一瞬、俺の方に目を向けるが、一言も発することなくOKの合図が出た。

OKの合図と言っても、手や目で合図するのではなく、手にしている俺のe-ticketとパスポートを無愛想に差し戻すだけだ。それと同時に、彼の目は次の乗客にいっていた。

明らかに肌の色が違い、一目で異国の地から来たと判る俺に、少しぐらいは怪訝な表情をしてほしい反面、あれやこれやと詮索されても困る。無言で通されたことはありがたいことだが、少しぐらいはかまってほしいものだ。

インドの国内線は、ターミナルビルに入るとすぐに手荷物のセキュリティチェックを受け、その後の搭乗前にもチェックが入る。セキュリティ万全なのはいいことだが、非常に面倒くさい。しかも、必ずボディチェックをされる。

俺はいつも、旅に出るときは、ナイロン製の二つ折り財布をジーンズの後ろポケットに入れている。それにチェーンをつけ、そのチェーンの反対側の端をジーンズのベルト通しに繋げる。スリやひったくり対策だ

それを外して手荷物チェックやボディチェックを受けるわけにはいかない。しかも、大きな金属のバックルを身に着けている身なりでは、かならずボディチェックを受けることになる。

ジーンズの後ろポケットと前のポケットの膨らみに、彼らは必ず中身を取り出すように指示する。ある男は、しっかりと財布の中身まで調べる。またある男は、ポケットから取り出すだけでOKで、中まで調べない。

しかし、彼等全員に共通するのは、ある二つのものを指差して、それが何か質問してくる。それは、ジーンズの前ポケットに入れている、口臭予防のためのマウススプレーと、携帯灰皿だ。

マウススプレーは液体物であるので、昨今の航空事情からすると厳しくチェックを受けても仕方ない。しかし、携帯灰皿は、日本国内や他の国で、まじまじと調べられたことはない。

“これは何だ?”と質問をしてくる。“Portable ashtray”と答えると、彼等の表情が一変する。それまで厳しかった表情が微笑みに変わり、搭乗券にセキュリティ・チェックOKのスタンプを押す。

街中の路上には、タバコの吸殻が捨てられている。この国では、まだ喫煙マナーというのが浸透していないのだろう。それゆえに、携帯灰皿 portable ashtray の需要もなく、そういう製品が存在していないのだろう。

そんな環境のせいなのか、携帯灰皿 portable astray を持っていると、マナーが良いとの印象を与えるのか。ほぼ全ての連中が、笑顔でセキュリティチェックを通してくれる。

1時間ほど、待合室で時間をつぶしていると、俺が乗る航空機へ搭乗するアナウンスが流れた。9:00am ムンバイ Mumbai 発Jetairways 9W322便 チェンナイ Chennai 行き。これで、昼前には久しぶりにチェンナイ Chennnai に到着する。

NEC_0056-2
Jetairways 9W922便で出された機内食。南インド・チェンナイ Chennnai 行きだからなのか、メニューにイドリー Idly が含まれていた

さぁ、インドへ行こう!~(19)

キングフィッシャー・ビール Kingfisher Beer にベジタブル・カリー Vegetable Curry 、ベジタブル・ビルヤーニ Vegetable Byryani、フィッシュフライという、日本では絶対に一緒にテーブルに並べないメニューを全て平らげ、店を後にした。

PC310261-2
コラバ Colaba 地区の中心から、ホテル向かう幹線道路

当初想定していたよりも酔いの度合いは浅く、しっかりとした足取りで、ホテルへ向かって歩き出すことができた。しかし、疲れは最高に達していて、ゆっくりとゆっくりとしか足を前に進めることができなかった。

ある曲がり角に差し掛かったところ、右側の路地に入ったところに明るい光が見えた。また、多くの人が集まって、わいわいとお祭りのように騒いでいる。時折、爆竹が爆発する音も聞こえる。

そういう場面に遭遇すると、気にならないわけには行かない。疲れてはいたが、少しだけ覗いていくことにした。

薄暗い裏路地を、目の前の建物の入り口にある照明一つが、明るく照らしつけている。どうやらその建物は、海軍に所属する家庭の子供達が通う学校のようだ。

一人の大人が何度も爆竹を爆発させ、その度に両手の人差し指を突き上げて、気分を盛り上げている。その周りに小学生らしき子供達が、無邪気に同じように飛び跳ねている。

その周りを多くの人たちが取り囲み、微笑みながら彼等を見ている。一体何の騒ぎだろうか・・・その理由は最後までわからなかったが、どこの国でもお祭り騒ぎが好きなのは、大人も子供も関係ないということだろう。

PC310265-2
暗闇の裏路地で、建物の入り口の照明に照らされ、騒ぐ人々

PC310268-2
何度も爆竹を爆発させ、両手の人差し指を突き上げて気分を盛り上げている

PC310272-2
周りには多くのギャラリーが集まって、微笑みながらその光景を見ている

さぁ、インドへ行こう!~(18)

ホテルの戻る途中で、食事をとることにした。そういえば、前回のムンバイ Mumbai 滞在はドライデー Dry Day で、アルコール類に一切ありつけなかった。今日はどうだろう・・・。

めぼしい店を見つけ、店の中を覗いてみる。俺と同じ顔をした東アジア人が一人、テーブルの上のキングフィッシャー・ビール Kingfisher Beer を手に取っている。今回は大丈夫なようだ。

PC310252-2
この日、俺が食事をしたコラバ Colaba 地区にある、大衆酒場のようなレストラン

店の人に、テーブルに通された。キングフィッシャー・ビール Kingfisher Beer を飲んでいた東アジア人の隣のテーブルだ。まさか、日本人ではないだろうか・・・。異国の地で、同じ日本人には遭遇したくない。そっぽを向いて、テーブルにあるメニューに目を通した。

インドでは、ベジタリアンを気取っていることが多い。今日も、そのつもりだった。ベジタブル・カリー Vegetable Curry と ベジタブル・ビルヤーニ Vegetable Byryani、それとキングフィッシャー・ビール Kingfisher Beer だけをオーダーするつもりだったが、ビールに合わせるものがないのに気づいた。店の人に薦められたこともあり、フィッシュフライを追加した。これをビールのつまみにしよう。

NEC_0050-2
インドでは標準サイズ。超ビッグサイズのキングフィッシャービール Kingfisher Beer

NEC_0052-2
ベジタブル・カリー Vegetable Curry と ベジタブル・ビルヤーニ Vegetable Byryaniに、フィッシュフライを追加した

キングフィッシャー・ビール Kingfisher Beer を瓶半分ぐらい飲んだところで、酔ってきたことがわかった。昨日からの睡眠不足と、疲労が蓄積していることが影響しているのか。

インドに限らず、旅先で飲むアルコールは、必ずと言っていいほど酔いの周りを早くさせる。普段なら、これぐらいで酔うことはないのに・・・。

しかし、歩き回って汗をかいた体には、薄口のビールがとても美味しく感じられる。ホテルも近いことだし、少々酔っ払っても大丈夫だ、と自分に言い聞かせ、目の前のキングフィッシャー・ビール Kingfisher Beer を全て飲み干してしまった。

明らかに肌の色が違う俺のテーブルに、何人もの店員が寄ってくる。大衆酒場のような雰囲気の店だが、サービスはとてもいい。空いたグラスにビールを注いでくれる。

ある店員が、「どこから来た?彼と同じ国か?」と、隣のテーブルの東アジア人を指差して聞いてきた。俺は、「日本だ」と答えた。すると、「彼は、中国から来たらしい。」とのこと。

これまでインドを旅してきて、多くの韓国人には出会ってきたが、中国人に遭遇したのは初めてかもしれない。中国でも、インドを一人旅する青年が現れたことに、かの国の経済成長の凄さを改めて実感した。