ハタ・ヨーガ

今日、初めてヨーガを経験した。『成瀬ヨーガグループ』には、無料体験という未経験者に親切なことをしてくれている。

最近は、ヨーガが大ブーム。ホット・ヨーガやパワー・ヨーガと称して、フィットネスクラブなどが若い女性をターゲットにクラスを開いている。これらは、ダイエット、綺麗な身体を作ることを願っている人たちに受け入れられている。

私がヨーガを始めようと思ったのは、身体的な健康を維持させる目的もあるが、どちらかというと精神的に健康な状態を回復させることが第一の目的である。過剰なストレスに見舞われる日常の生活で、オフィスでもプライベートでも何もする気が起きないときがある。危険な兆候である。ヨーガを始めれば、自分らしさを取り戻し、いつもアクティブに活動ができる心身状態を保つことができると思ったからだ。

東京・五反田の雑居ビルにある『成瀬ヨーガグループ』の扉を開ける。すぐ目の前に、サリーを身にまとった女性が受付に座っている。顔を見ると、同グループのweb siteに紹介されている講師の一人である。次のクラスの開場が間もないこともあり、次々と来る他の受講生の応対をしている。私に少し無愛想な表情で「無料体験の方ですか?ここに名前を書いて、右側のロッカーで着替えてください」とだけ言った。不安を感じながら靴を脱ぎ、言われたとおりに着替えを済ませた。

既に準備を済ませている人々の間をぬい、自分の居場所を見つけ、そこに胡坐をかいて座った。ある人は同じく胡坐をかいて座っているだけ、またある人は体を動かしている、様々である。その間にも、次から次へと受講生がやってきて、あっという間に部屋が一杯になってきた。

そうする間に、先ほど受け付けに座っていた女性が前に現れ、講座の開講である。講座というより、修行といったほうがいいのか。雰囲気からして、ここは流行のヨーガ教室とは違う、本格的なヨーガを体験できるところだと思った。

元来、体の硬い私は、ひとつひとつの動作にふらふらと揺れながらも、教えられたとおりの動作とポーズをとっていく。最初は簡単な姿勢から、次第に体にきつい刺激を与える修行へと移っていく。といっても、まずは基本的なことばかりであったので、最終的にはなんとかサマになっていたと思う。

最後に、「スーリヤ・ナマスカーラ」という動作に入った。日本語では「太陽礼拝」と訳されている。その日本名の通り、一連の動作は、宗教的な意味合いを持つと容易に感じ取れる。一度やっただけで覚えられるものではなく、何度も繰り返し行いながら、体で覚えていく必要があるのだろう。そうして、無意識のうちにこの「スーリヤ・ナマスカーラ」ができるようになると、私が目的としている心身の健康へ一歩近づくのであろう。

90分という短い時間であったが、受講後はとても気持ちが落ち着いていた。受講前は食事を抜くように指示されていたので、既に空腹を感じる時間帯であったが、全くそんな欲求は感じ取れなかった。また、五反田という東京随一の猥雑な街にあるにも関わらず、私は微塵の雑念も感じ取れずに駅へ向かうことができた。単純な男といえばそれまでであるが・・・。

他のヨーガ教室は知らないが、おそらくこの『成瀬ヨーガグループ』は、私の目的を達成できる場所だろう。自分を見つめなおす場所が、またひとつ見つけることができた一日であった。