さぁ、インドへ行こう!~(14)

クロスローズ Crossroads での衣類調達が不発に終わり、その代わりにインドで初マックを果たした俺は、次に向かったのはマハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple だ。ロンリープラネット lonely planet に載っている地図では、そのマックからしてクロスローズ Crossroads の反対側に行けばいい。クロスローズ Crossroads が工事中でなければその中を突き抜ければすぐに着くのだろうが、今日はそれはできない。仕方なしに、目の前の建物を外を大回りして反対側へ行くことにした。

クロスローズ Crossroads の反対側に出ると、そこは交通量の多い大通り。どこかで見たことのある光景に、昨夜、空港からコラバ Colaba 地区へタクシーで向かうときに通った道であることを思い出すのに、そう時間はかからなかった。そんな大通りを横切った先に、マハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Templae がある。

交通量も多いが、歩道を歩く人の数も尋常ではない。休日のJR新宿駅や横浜駅よりも、人の数は多いのではないか、と思うほどだ。インドでも、その日は日曜日で休日だ。おそらくその人たちは、マハーラクシュミ 寺院 Mahalaxmi Temple へ向かっているのではないかと思い、その人の流れに身を任せて前へ進んだ。

PC300183-2
大通りに面したマハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple へ繋がる入り口

PC300188-2
入り口から中へ入ると、多くのインド人が参拝に訪れていた。

そこには、無数の人が行きかっていた。多くのインドの人々が、日々の生活に組み込まれている寺院。周りを見渡すと、異国から来ている人間は俺一人のようだ。若干、居心地の悪さを感じてはいるが、それはこの地へくると毎度のこと。臆せずに奥へ入っていく。

PC300189-2
インドの人々にとって、寺院への参拝は日課である

大通りから入ると、そこは細い裏通り。そんな裏通りにも、びっくりするぐらいの多くの人が参拝のために訪れていた。

PC300194-2
マハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple へ向かう裏路地

前回のムンバイ Mumbai 滞在では、ここマハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple はクローズだった。その日は月曜日。そう、エレファンタ島 Elephanta Island と同じ曜日に休みだった。今回、改めてここマハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple を訪れてみたが、今度は閉まっているどころか訪れる人が多すぎて中に入れない。日本の初詣のように、並んで境内に入っても良かったが、さすがに旅成れた俺でも、現地の人々に混ざって、長時間長蛇の列に並ぶのは気が引ける。仕方なしに、そのまま引き返すことにした。

PC300197-2
マハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple へ向かおうとしたが、あまりの人の多さに、途中で引き返すことに・・・

さぁ、インドへ行こう!~(13)

無計画な旅を続けてきたことが災いして、今回も“思いつきクロスローズ Crossroads でショッピング計画”が、見るも無残に崩れ去った。

そのとき、クロスローズ Crossroads 前に呆然と立つ俺は、既に次のことを考えていた。“そうだ。俺はインドへ来て、まだ一度もマックへ行っていない。インドのマックでは、肉類を一切使っていないマックベジ Mac Veg eを本当に売っているんだろうか?”という好奇心が芽生えてきた。

期せずして、クロスローズ Crossroads の裏玄関には、マクドナルドがあるではないか。“あの運転手、なかなか粋な計らいをするではないか・・・”と、自分の無計画さを棚に上げて、何でも肯定的に考える俺の性格は、旅に出かけると大いに役に立っている。

つい2~3時間ほど前には、エレファンタ島 Elephanta Islands で、ベジタリアンターリーと焼きトウモロコシをたいらげた俺だが、インドでの初マックが実現味を帯びてきたら、満腹感もどこかへ吹き飛んでしまった。さっそく店に入り、カウンターでマックベジ Mac Vege をオーダーした。

PC300174-2
俺が、初めてインドで食べたマックベジ Mac Vege

マックベジ Mac Vege を食した俺の感想は、“単なるコロッケバーガーじゃないか!”

しかし、“これはこれで、イケる!”と新しい発見をしたや否や、“日本のようなコテコテしたマックより、こんなあっさりしたマックベジ Mac Vege を好むなんて、俺ってコヤジの域に達したのか!?”と、自己嫌悪に陥ってしまったのであった。

PC300177-2
インド・マックのフロントの様子。ここで俺はベジマック Vege Mac をオーダーした

PC300179-2
インドのマック店内の様子。週末なのに閑散としているのは時間帯のせい!?

PC300182-2
インドのマック店前の様子。どこの国でもドナルド君は、両手を広げて偉そうに思えるのは俺だけか!?

さぁ、インドへ行こう!~(12)

マハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple とクロスローズ Crossroads へ行くことを決めた俺は、すぐさまタクシーに乗り込んだ。

最近のムンバイ Mumbai のタクシーは、マナーが向上してきたようだ。車に乗り込むと同時に、値段交渉を仕掛けてくる運転手はかなり減った。今回乗り込んだタクシーの運転手も、俺が何も言わなくても自らメーターのレバーを横に倒した。

二輪車や四輪者がひしめき、人体に悪い影響を与えることが明らかな排気ガスと砂ぼこりが舞う道路を、そのタクシーは走り続けた。俺は、間違っても窓を開けようとも思わなかった。20分ほどした頃だろうか。運転手は、俺が座る後部座席へ振り返り、“着いた”と言った。

確かにここはクロスローズ Crossroads 。間違いない。メーターに記された金額を現在値(※)に換算して代金を支払い、タクシーを降りた。

(※ムンバイのタクシーメーターはかなり古く、表示された価格を現在値に換算しなければならない)

素直にタクシーを降りたが、実は少々ムッとしている。“あの運転手、クロスローズ Crossroads の裏側に着けやがったな”と思ったからだ。

どう見ても表玄関と思えないような建物を前にし、仕方なく逆側に回ろうと思ったが、左右の曲がり角を確認すると、ともに200mぐらいはあるではないか。“クソッ!!”と、また悪態をついてしまった。

目の前を見ると、その建物にテナントとして入っているマクドナルドがある。“ここから入るしかないようだな。クロスローズ Crossroads につながっているだろう”と推測し、そのマクドナルドの前に立つドアマンに近寄った。

“ここからクロスローズ Crossroads に入れるか?”と聞いた。答えは“No”だった。彼曰く、普段なら、このマクドナルドからそのままクロスローズ Crossroads に入れるのだが、今は工事中だという。なんて俺はいつもアンラッキーなんだ。

前回のムンバイ Mumbai では、エレファンタ島 Elephanta Islands が月曜定休で行けなかった。 今回は、エレファンタ島 Elephanta Islands には行けたが、その次のクロスローズ Crossroads には行けない。

実は、俺はこういう結末に陥ることが非常に多い。元来、計画的に事を進める俺だが、こと旅になると途端に無計画になってしまう。それは以前に、日本で綿密に計画したプランが、現地へ行けば変更を余儀なくされる経験をたくさんしてきたからだ。

その経験から、“どうせ計画を立てても、現地へ行けば変更しなくちゃいけないんだから、行ってからその日の行動を決めよう”と、無計画に旅を続けてきたせいもある。今回も、“クロスローズ Crossroads で身の周りの調達”というその場で思いついた計画も、見るも無残に崩れ去った。

さぁ、インドへ行こう!~(11)

今回のムンバイ Mumbai は、云わばトランジットのようなもの。今回の旅の目的地は、南インドのマイソール Myasore 。日本から南インドへは直行便はなく、もっとも一般的なのは、タイのバンコク Bangkok かシンガポール Singapore を経由して南インドへ入るルートだ。

しかし、年末年始の休みで、日本からバンコク Bangkok やシンガポール Singapore へ飛ぶ便は全て満席。日本航空 JAL のマイレージで、まずはデリー Delhi へ飛んでインド国内線で南インドへ飛ぶことも考えたが、昨今のインド流行で、成田-デリー Delhi のフライトチケットも取ることができなかった。

今回の年末年始の連休は、暦通りでも9連休になり、一介のサラリーマンでなかなか長期の休みが取れない俺には、またとないチャンスだ。是が非でもインドへ飛び立つことを決意したが、肝心のフライトチケットが取れない。

H.I.Sなどで航空券を手配しても良かったが、そんなことをすると、これまで何のために日系航空会社のマイレージを貯めていたのか、バカらしくなってくる。そこで思いついたのが、全日空 ANA が2007年から就航させた成田-ムンバイ Mumbai 間のオールビジネス席の路線だ。

実はこれも、全日空 ANA のサイトでマイレージ特典航空券を手配しようとしたら、キャンセル待ち。仕方なくキャンセル待ちを入れておくと、ある時、“特典航空券の手配が可能です”とのメールが舞い込んできた。すぐさま全日空 ANA のサイトへ出向き、その特典航空券を手配した。

通常、日系航空会社のマイレージで日本からインドへの特典航空券を手配すると、エコノミーで35,000マイル~40,000マイルである。しかし、今回の全日空 ANA のオールビジネス席の成田-ムンバイ Mumbai の特典航空券は、60,000マイル。エコノミーの1.5倍以上のマイルを消費しなくてはいけないが、インド行きを決意した俺には、何の躊躇もなく“申込み”ボタンをクリックした。

説明が長ったらしくなったが、言いたいことは、今回のムンバイ Mumbai は俺にとって、それほど重要ではないということだ。しかし、せっかくなんだから、前回行き損ねたエレファンタ島 Elephanta Island  だけは行っておこう、と思っただけだ。

そんな動機だから、エレファンタ島 Elephanta Island へ行ってしまった俺には、もうムンバイ Mumbai には行きたいところはない。かといって、このままホテルに戻っても面白くない。ある種の達成感を感じた俺は、無造作にロンリープラネット lonely planet を広げた。

“そうだ!前回行き損ねたところがもうひとつある。マハーラクシュミ寺院 Mahalaxmi Temple だ。それに、そのすぐそばに、ムンバイ Mumbai 最大といわれるショッピングモール・クロスローズ Crossroads があるんだ。今回は3日間の着る物しか持ってきていない。残りの分はここクロスローズ Crossroads でで調達しよう”と思い立った。そう思った瞬間に、俺は右手を上げて、黒色と黄色のツートンのタクシーを呼び止めていた。

さぁ、インドへ行こう!~(10)

前回のムンバイ滞在で行き損ねたエレファンタ島 Elephanta Island。“地球の歩き方”で見る石窟寺群と、直接それを見るのとでは、受け取る印象と思い馳せる気持ちは全然違ってくる。写真では伝わらない空気や匂いが、現地では実感できる。

他の観光客で邪魔をされることもあるが、その場に赴くと、それが築造され人々が暮らしていた千年以上も前の時代に、自分も身をおいている気分に一瞬でもなってしまう。

そんな干渉に浸りながら左腕に目をやると、11時半になろうとしている。他に見て回るものもなさそうだし、そのままムンバイ市内 Mumbai へ戻ることにした。

来た階段道を下り、船着場へ向かう。その途中に、焼きトウモロコシを売る女性が立っている。これは、まさしく日本でも見られる光景だ。夏祭りなどの祭事や花火大会など、人が集まってくる場所に必ず出展しているテキヤ。この女性は、インド版テキヤなのか。

さっきベジタリアン・ターリーをたいらげたところだが、この光景を見て食さないわけにはいかない。10ルピーで、焼きトウモロコシを1本いただいた。ここインドでは、しょうゆ味ではなく、塩味にライムをこすり付けて食べるらしい。

PC300152-2
船着場近くで焼きトウモロコシを売るインド人女性

焼きトウモロコシを食べたときについた、口の周りでべとつくライン汁を拭いながら、そのまま船着場に向かう。来るときはミニトレインに乗ったから、帰りは歩いてわたろうと決めていた。

PC300156-2
船着場に向かう桟橋。帰りはここを歩いて渡った。

30分おきの出発だと事前に聞いていたので、少し待つことになるかもしれないと思っていたが、船着場に着くと、目の前に2隻の船が着岸している。それらしき人に聞くと、右側の船がムンバイ市内 Mumbai へ向かうらしい。急いで別の船に乗っていると、全然違う場所へ連れて行かれてしまうところだった。

PC300160-2
エレファンタ島 Elephanta Island を出向し、ムンバイ市内 Mumbai へ向かう。

ムンバイ Mumbai 側に着岸すると、そこは人で溢れ返っていた。来るときは、早朝ということもあって人影はまばらだったが、インド門 The Gate of India やタージ・マハル・ホテル Taj Mahar Hotel の前は、家族連れやカップルなどで賑わっていた。こういう光景を見ると、世界第二位の人口であるのも頷ける。

PC300171-2
タージ・マハル・ホテル Taj Mahar Hotel 前で、家族や友人達と過ごす人々

PC300173-2
タージ・マハル・ホテル Taj Mahar Hotel 前で黄色いバルーンを膨らますインド人

さぁ、インドへ行こう!~(9)

ここインドにの街中では、たくさんの動物が自由気ままな生活を営んでいる。

いわずと知れた牛。聞くところによると、彼ら彼女らは、決して野良牛ではなくきちんと飼い主がいるようだ。しかし、街中で見かけるその姿や動きはまるで野良牛のよう。インドを始めて旅したときは、いかにもインドらしい光景を、物珍しく思い関心を示したが、一方では不潔な印象を受けたものだ。しかし、回数を重ね環境に慣れてくると、その牛たちの表情としぐさが、とても可愛く思えてきた。


湿地帯を悠々と闊歩する牝牛

牛の次に、インドの街中で見かける動物は、犬。彼らは正真正銘の野良犬のようだ。私は日本で、犬を2匹飼っている。ミニチュアダックスフンドとミックス(ジャックラッセル+ミニチュアダックス)。彼女たちには、本当の子供を養うような気持ちで毎日世話している。毎日ハウスを綺麗にし、週末には必ず体を洗ってあげる。多忙にかまけて、満足のいく世話をしていないときもあるが・・・。

そんな彼女たちと比べてみると、ここインドの野良犬たちの生活環境は、可愛そうである。満足にゴハンを食べることができず、快適な生活場所も確保できず、また誰も体を洗ってくれることもない。昔の日本も野良犬がたくさん見かけられたが、同じような状態だったのかもしれない。犬を飼っている私にとっては、そんな野良犬たちを不憫に思い、なんとか助けてやりたいとも思うが、今はそのための時間的、金銭的余裕と術がない。


野良犬の野良犬。その貧弱な体型を不憫に思う。

牛と犬の他に、猫や猿も見かける。猿は、街中というより、少し郊外にある木々が茂った公園や観光スポットに生息している。ここエレファンタ島 Elephanta Island でも、たくさんの猿たちが観光で訪れた人々に臆することなく、気の向くままの生活を営んでいる。休憩で座り込んだ人が脇に置いたペットボトルを盗み、それを弄ぶ猿。飲料水が入った小型タンクの蛇口にぶら下がる猿。使い方を知っているのか、ペットボトルのキャップを開けたり蛇口をひねって水を飲む姿を見ていると、猿が進化して人間になったのも頷ける。


ペットボトルのキャップを空け、ミネラルウォーターを飲む猿


飲料水タンクに群がり、蛇口にぶら下がる猿

“犬猿の仲”という言葉があるが、ここエレファンタ島 Elephanta Island の犬と猿は、喧嘩をすることなく、それぞれの生活を確保している。といっても、仲睦まじいわけではなく、観光客が落としていった食べ物を取り合うのは、死活問題であり当然のことだ。こうして、動物たちは、それぞれの生活を営み、種の保存を図ってきたのであろう。


人間の落とした食べ物にむさぼりつく犬と、それを横取り狙う猿

さぁ、インドへ行こう!~(8)

階段を上り終えて、ようやくエレファンタ島 Elephanta Island の頂上へ到着した。思っていたほど階段は長くなく、辛くはなかった。脇に並べられている土産物屋を物色しながら上ってきたせいもあるだろう。

石窟を見るために中へ入るには、250ルピーの入場料が必要だ。少し高い気がするが、払うしか仕方がない。入り口から入って左側は、とても眺めがいい。木が生い茂っているせいで見晴らしが良いとは決していえないが、その木の葉の隙間から見える景色は最高だ。船着場やミニトレインで渡ってきた桟橋が見える。とても小さく見え、さっきまでそこにいたことがまるで嘘のようだ。


頂上から見る船着場と桟橋

その景色を背にし、振り返ると、ここエレファンタ島 Elephanta Island の第一窟がある。まだ朝10時過ぎにもかかわらず、多くの人が訪れている。


第一窟の入り口。この奥に、数多くの石彫りのシヴァ Shiva  神が祀られている。


石窟に入ってすぐ右側の柱に彫られているシヴァ Sihva 像


入り口左脇の壁に彫られているシヴァ Shiva 像


中央奥の壁にあるシヴァ Shiva の三面上半身像

ここエレファンタ島 Elephanta Island の石窟寺院は、1987年に世界遺産に登録されている。まだ文明の利器が十分に発達していない6~8世紀に、人々がこのような石窟を作ったことを考えると、人間のなせる技とは計り知れないものがある。21世紀の便利な生活に慣れてしまった我々には、電気も動力もない世界でどうやってこのような石像を作ることができたのか、容易には思いつかない。そのような先人達の遺産が、ここインドにはたくさんある。私がここインドへ、何度も足を運ぶ理由のひとつである。

さぁ、インドへ行こう!~(7)

意外に美味しかったベジタリアン・ターリーで腹ごしらえも済み、いよいよエレファンタ島 Elephanta Island の頂上へ向けて、階段を上り始めることにする。階段の入り口からその先を眺めてみても、頂上は見えない。

幼いころ、毎年正月三が日に、母親が京都・伏見稲荷大社へ連れて行ってくれたことを思い出す。本殿近くに小さな山があり、その頂へ向かう長い階段を、兄貴や妹と競争したものだ。いつも、私が負けていたのを思い出す。

その階段道には、道をまたぐように数メートルおきに小さな鳥居が立てられている。頂上へ着くにまでに、いくつの階段を上るのだろう、いくつの鳥居をくぐるのだろう、と3人兄弟で数えたことがあったが、今ではその数は忘れてしまった。たしか、階段は1000以上あったような気がする。頂上へ着いたころはもうヘトヘトで、階段脇にある茶屋の入り口で、母親の到着を待ったものだ。

そういえば、今日は12月30日。いわゆる正月休みで、ここエレファンタ島 Elephanta Island へ来ている。明後日には新年が明けている。三が日には少し早いが、あの時の伏見稲荷大社を思い出して、この階段を上っていこう。そんなことを思いながら、未知の世界へ飛び込むような気持ちで、第一段目を踏み出した。

階段を上り始めてまもなく、細長い棒二本がくくりつけられた青く塗られた椅子が並べられているのを見つける。一瞬にしてその正体がわかった。やはり、ここはインド。どんなことでも商売に結びつけるところが彼ららしい。この長い階段を上りたくても上れない年配者などは、とても助かるだろう。旅の記念に・・・と一瞬、気持ちが揺らいだが、ここは自分の足で歩こう、と決心した。


頂上へ向かう急な階段道。階段脇にはたくさんの土産物屋が所狭しと並んでいる。


まるで神輿を担ぐように、4人の男が木の棒を方に乗せて観光客を運ぶ。


楽そうだが、みんなが見つめる中、どんな気分なんだろう・・・

さぁ、インドへ行こう!~(6)

16世紀にポルトガル人が上陸し、巨大な石彫りの象を発見してから、エレファンタ島 Elephanta Island と呼ばれるようになった。

ここには、6~8世紀に作られたと言われている7つのヒンドゥー教の石窟寺院がある。すべての石窟寺院で、シヴァ Shiva 神が祀られている。ポルトガル人によって多くが破壊されたが、唯一、第一窟だけがその難を逃れたという。

その第一窟へは、この島の頂上にある。船着場からそこへ行くには、長い桟橋をわたらなければならない。歩いても良いが、ミニトレインに乗ってへ向かうこともできる。桟橋を渡り終えると、Elephanta Cave の標識があり、左手に入り口がある。ここで入島税(5ルピー)を払い、その先にある階段を上っていかなければならない。

どれぐらいの階段を上らなければならないのか。船で軽い睡眠をとったとは言え、今日もまだ長い。朝から体力を消耗させたくない気持ちが芽生える。そういえば、朝ホテルを出てから何も口にしていないことに気づいた。目の前の試練に突入する前に、軽く腹ごしらえでもすることにした。


船着場から島の入り口へ向かうミニ・トレイン


エレファンタ島 Elephanta Island の入り口を示す標識


エレファンタ島 Elephanta Island の入り口。ここで入島税(5ルピー)を払う。


頂上へ向かう階段の入り口付近。右手のレストランに入り、ベジタリアン・ターリーで腹ごしらえをした。

さぁ、インドへ行こう!~(5)

無事にエレファンタ島 Elephanta Island 行きの船のチケットを手に入れた。さっそく、インド門 The Gate of  India 脇の乗り場へ向かう。そこには、いくつもの船が横付けされていて、どれがエレファンタ島 Elephanta Island へ向かう船なのかわからない。波止場の案内人らしき人に“Elephanta?”と聞くと、目の前の船に乗せられる。多少不安に思うが、目の前を見ると日本人らしき団体数人が同乗している。“間違いない・・・”

息つく暇もなく船は沖へ向かう。エレファンタ島 Elephanta Island までの所要時間は約1時間。ちょっとした船旅だ。元来、船旅や列車の旅などが大好きなで、旅するときは必ず船や列車の移動を行程に入れる。今回の旅でも、チェンナイからマイソールへ移動するのに、夜行列車で向かうことにしている。

私を乗せた船は、大きなエンジン音をたてながら、エレファンタ島 Elephanta Island へ向けてゆっくりと進んでいった。


エレファンタ島へ向かう船から見たインド門(右)とタージ・マハル・ホテル(左)

年末の激務を乗り越えて、昨日はANAの直行便で成田からムンバイへ移動。やはり疲れが残っていたのか。船の上で少し眠ってしまったようだ。旅慣れてくると、どんな状況でも寝られてしまう。しかし、油断は禁物。すぐに、身の回りの物を確認。“良かった、無事だ・・・”。といっても、ここで持ち物を取ったとしても、犯人はどこへも逃げようがない。

目が覚めて時計を見ると、船が出てちょうど1時間。眠ってしまったおかげなのか、エレファンタ島 Elephanta Island へは、あっという間に着いた気がした。寝たのは30分ぐらいか。昼寝(といっても、まだ朝10時だが・・・)の効果は抜群だ。気分爽快、気だるい体が完全快復した。

目の前の日本人団体が気にかかる。私が一人旅を好きなのは、旅先で出会う地元の方々と話をしたいからだ。同じ日本人同士では、やはり日本語で会話をし、日本にいる延長線上のような気がしてしまう。だから、いつも、あまり日本人が来なさそうなところへ行く。そんな私にとって、目の前の日本人団体客は、見て見ぬ振りをする対象となってしまう。

しかし、そういうときに限って、その団体の一人が声をかけてくる。“日本人ですか?”と。“はい”と素っ気なく答える。“正月休みですか?”と更に質問してくる。“はい”とまた素っ気なく答える。内心では、“盆休みなわけねぇだろ!放っといてくれ!”とイライラし始める。そんな私の気持ちを察したのか、その人はそれ以上、私に声をかけてくることはなかった。“また、悪態をついてしまった・・・”と反省をしながらも、今回の自分の旅を前へ進めるべく、船を降りた。


エレファンタ島に到着し、下船する人々